Thursday, April 11, 2013

300年後のITの世界を明日の予定のように語る孫正義の予見力

「スティーブ・ジョブスとの仲を取り持ってくれたのはラリー・エリソンだった。Appleを追い出され、スティーブが人生で一番つらい時期を送っていたころ、力になってやってほしいとラリーの自宅で紹介された」- 4月9日、3,000名近い聴衆を集めて行われた「Oracle CloudWorld Tokyo」(於グランドハイアット東京)の基調講演、サテライトで登場したOracle CEOのラリー・エリソンとともに、この日の主役を務めたのはソフトバンク 代表取締役社長の孫正義だった。

ソフトバンクがiPhoneを扱う権利を得たのは、ジョブスと孫の個人的な関係も強く影響したと言われるが、その間に立ったのがラリー・エリソンというのも興味深い。ラリーの自宅には湖かと見まがうような大きな池があり、その淵には何十本もの桜の樹が植えられているという。その桜を眺めながらジョブスとともに未来のコンピューティングについて語り合ったと振り返る孫社長。そこで語られた未来図は一般人では考えつくことのできない創造性にあふれていたことだろう。

「300年後の未来、ワンチップのコンピュータには人間の脳細胞をはるかに超えるトランジスタが搭載される。きっと人間以上に考える能力をもった脳型コンピュータを備えた知的ロボットが登場し、人類が解決できなかったさまさまな問題を解決できるだろう。また紙のように薄いチップをおでこに貼れば、それが脳幹とつながり、ネットワークともつながって、1000km離れた人間ともテレパシーのように会話できるかもしれない」と語る孫社長。ふつうの人間が語れば荒唐無稽の話でも、彼が語ればまるで明日の予定のように強い現実味を帯びて、我々の耳と心に響いてくる。未来を予見する人はそれを作る力も持っている、この人を見るとそう思わずにはいられない。